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■ 泉質:ナトリウム塩化物泉
別府八湯のひとつである、鉄輪温泉。ほとんどの温泉が中性から弱アルカリ性の液性であるとされるなかで人の肌と同じ弱酸性である鉄輪温泉はたいへん稀少であり、まさに世界に誇る温泉地のひとつとして名を上げることができます。泉質は保湿成分であるメタ珪酸を多く含む塩化物泉であり、その含有量は日本で最高のレベルを誇るほど。しっとりと肌を潤すやわらかな泉質はまさに天然の化粧水とも謳われ、美肌効果にも期待ができます。また入浴後、湯に含まれた塩分の働きで汗の蒸発を防ぎ、保温効果を発揮。ぽかぽかと温かく、しっとりとした湯あがりが特長の『渋の湯』は、鉄輪温泉を語るにふさわしい名湯のひとつです。
■ 特長:高温の温泉が竹枝を伝って落ちるあいだに冷却される竹製温泉冷却装置『湯雨竹』での温度調節により、源泉そのままの掛け流し温泉が楽しめます。
■ 名前の由来:鉄輪の地獄地帯十万地獄にある字名『渋湯』から引き湯をしていたことによりその名が付く。
以前はタオルが茶色に染まるほど金気の強い、渋い色の泉質であったことによるとも言われています。
■ 歴史:鎌倉時代の僧、一遍上人が念仏行脚の途中に訪れ、噴気にたけ狂う地獄地帯を鎮めて開いたのが鉄輪温泉のはじまりと伝えられています。 最初は向かい側にあり(元湯)、明治28年に現在地に新たに温泉ができ「新湯」と呼ばれました。砂湯や蒸し湯、“七滝”と呼ばれる打たせ湯が湯治客に人気を呼んでいたそうです。
当時の建物はそれぞれに瓦屋根を抱く堂々の日本建築で、鉄輪温泉の名湯にふさわしい佇まいを見せていましたが、時代の流れとともに改築。その後も地元の方や温泉を楽しむ観光客に親しまれ、いまもなお大切に受け継がれている名湯のひとつとして広く知られています。
元湯は平成18年に閉鎖されましたが、跡地はポケットパークとなり、記念碑に由来が記されています。
また渋の湯の裏手には、お地蔵さまが刻まれた石壁に七滝の面影が残されており、当時のにぎわいと湯治場の風情を見ることができます。→ 渋の湯歴史写真館
■ 湯あみ祭り:鉄輪温泉の開祖・一遍上人の徳を称え、温泉の恵みに感謝する『湯あみ祭り』は毎年9月に行われます。
献湯を入れた竹筒を持ち寄り供養する『湯くみ法要』に始まり、温泉山永福寺に祀られている一遍上人座像を御室ごとお運びし、渋の湯で洗い清め、鉄輪むし湯に入湯させる『湯あみ法要』は、地元の方や訪れる観光客の無病息災、病気平癒を祈ります。
湯あみ法要とともに華やかな衣装をまとって練り歩く可愛らしい稚児行列は鉄輪温泉の大きなイベントでもあり、湯のまちに訪れる秋の風物詩です。
湯あみ祭り写真 小野 弘さん(今日新聞社)
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